CYDAS BLOG

2019年12月13日

Events

海が見える石垣島の教室で、インターネッツな特別授業をしてきた話

みなさんこんにちは、大都市東京からリゾートアイランド沖縄に移住した高橋和夫(@banto_kazuo)と申します。

先日といっても結構前の話ですが、石垣島の八重山商工高校の生徒さんにインターネッツな特別授業とワークショップをしてきましたので、少しだけ皆さんにご紹介させていただきます。石垣島の高校生ってどんなん??って興味ある方もぜひお付き合いください。

きっかけは「IT津梁まつり」


ことのきっかけは、沖縄県浦添市で開催された「IT津梁まつり」という、県内のIT化を啓蒙するイベントで登壇させてもらったことでした。

「IT津梁まつり」は、2013年から沖縄で開催されているイベントで、県内のキッズから大学生、おじいおばあまで、VRやらeスポーツやら、ロボコンやら色んなテクノロジーを見て触れて体験してもらって、少しでもITに興味を持ってもらおうという趣旨のイベントでして、教育格差をなくすために、沖縄の離島から先生たちが高校生を引率して参加されます。なぜ私がお呼ばれされてしまったのかはさておき、1時間ばかり、インターネッツな話をさせてもらう機会を頂戴しました。


「講演を聞くのは高校生や大学生がメインですよ」という主催者側の言葉とは裏腹に、当日席を埋めているのは立派な大人たちの皆様で、「ふざけんじゃないよ120%学生向けに作ってしまったじゃねえか」という気持ちを隠しながらなんとか講演を終えましたら、逆にその内容が良かったらしく、八重山商工高校の情報技術科の先生が壇上の袖で声をかけて来てくれまして、「いまの話をぜひうちの高校でやってほしい!」と並々ならぬ圧力で頼まれたものですから、こんな僕でいいのかなぁ、でもなんか面白そうだなぁと思い、石垣島に行く約束をしてしまいました。

石垣でITの楽しさを伝えるグレートティーチャー

人生ではじめての石垣島。出張ですがバカンス気分全開です。きっと空港を出ると見渡すかぎりのコバルトブルーの世界で、「おいおい太陽がまぶしいじゃねえか仕方ないなぁもう」っていうのを想像してたんですが、実際、町に降り立って車で走ってみると、ブルーの世界というより永遠と続くサトウキビ畑と脈々と連なる山々のグリーンがどこまでも広がっておりまして、それはそれは自然豊かで神々しい島でした。


そんな石垣に来るきっかけをくれた松島先生。生まれも育ちも石垣、生粋のしまんちゅーです。八重山商工高校の情報技術科で、石垣では珍しくIT全般を教えている先生です。

先生は、島の子たちにも、ITの楽しさや凄さを感じてほしいという熱い想いをもった方で、休日に台湾のITイベントに生徒を連れていったり色んな活動をされていて、美味しい石垣牛のステーキ丼を食べながら教育への熱い想いをたくさん語ってくださり、僕の授業に対する熱量も次第に上がっていくのでした。


 

1コマ目 インターネッツなお話し

さて、今回授業を行う生徒さんはなんと高校一年生です。この間まで中学生だった子たちに、授業するなんて、未知の世界です。
何度も資料を見直し、高1の子たちの知識・興味レベルに合わせて、言葉ひとつひとつを見直したり展開の仕方を調整しました。
「今日の授業はこちらです」と通されたのが「視聴覚室」。


あったなぁ視聴覚室、懐かしいなぁ、と思いながら教室へ入り、石垣の高校生ってどんな子たちだろうと期待と不安で準備を進めていたら、生徒さんたちが続々と入ってきました。そして彼らの様子を観察して思いました。

やばい。これは刺さらないかもしれない。

その予感は的中しました。

授業1コマ目は、イベントで話した内容をなるべく分かりやすいように展開していたつもりでしたが、20分も話していると、生徒の1〜2割はほぼ興味をなくしてきた状態・・!数名寝てるし!!

「(いやああああああああ、帰りたああああああい!!!)」
心がバキバキと折れ始めます。

でも、あれ?

僕の目を見て真剣に話を聞いてる子もおるやん。
1人、2人、10人くらいはいるか?よかったぁああ。よし、あの子たちのためにも頑張るよおじさん!
僕はなんとかその子達によって平常心を保つことができました。


授業で話した内容はこんな感じ。

「イタリアで靴職人だった僕が、ITで自分らしい生き方を見つけた話」

  • 僕が福岡の田舎町で生まれてから、美術大学を経て、イタリアに渡り靴職人になるも、夢半ばで日本に戻り紆余曲折しながらどうやって自分のやりたいことを見つけたのか?それがなぜITだったのか?
  • 東京のIT最前線からなぜ沖縄にやってきたのか?
  • 福岡〜東京〜イタリア〜東京と紆余曲折を経ている中で、「IT革命」という一大変化が起こった。
  • ITによって生活は便利になった。
  • 社会全体でIT化が進んだことで、新しい仕組みやルールが必要になったこと。
  • それにより度々論争が起こり、今まで当たり前だった考え方や価値観にも大きく影響を及ぼし始めたこと。
  • これまでの社会の本質は「縦社会・閉鎖的・独占的」だったのがインターネットによって「フラット・オープン・リンク(シェア)」の本質に変わったこと。
  • それによって、現代に「ダイバーシティ、シェアリングエコノミー、ティール」など様々な新しい価値感を生み出していること。
  • インターネットがあれば那覇でも、島でも、世界中の誰とだって繋がって仕事ができる。
  • 実際に沖縄の高校生が大人たちに混じってビジネスコンテンストでグランプリを取っている。


 

2コマ目 ワークショップで目がさめてきた

さて、授業2コマ目はワークショップです。授業1コマ目のインプットをもとに、自分たちが生活を便利で豊かにする新しいIT製品やサービスを考えてみようというワークショップです。

いくつかのチームに分かれ、時間内でアイディアと実現方法をまとめ、みんなの前でプレゼンするという内容です。


こんな感じで2時間くらいかけてやりました。

  • 5、6人のチームを6つほど作り「衣・食・住」のテーマを振り分け、そのテーマの中からアイディアを出していってもらう
  • チームごとに会社名と社長を決めてもらう
  • 付箋にこんなのあったらいいなっていうアイディアを書き出していく
  • アイディアをグルーピングしていく
  • どういうテクノロジーで実現可能かを考える
  • 分かりやすいキャッチコピーを考える
  • 最後にみんなの前でプレゼン!


ワークショップが始まって、生徒たちは少しずつですがイキイキしはじめ、教室も熱を帯びてきました。冗談を友達と漫才のように言いながらアイディアを出していく子もいれば、リーダーがきっちりまとめながら進めているチーム。

みんなの表情が楽しそうになって、ぼくもとても楽しい気分になりました。

3コマ目 生徒たちによるプレゼン

アイディアがまとまったところで、最後はプレゼンです。
みんなの前に出てきてもらい、持ち時間7分を使ってプレゼンをしてもらいました。慣れないことにみんな緊張しながらも、頑張って発表してくれました。

石垣島特有のゴミの問題を解決するAI搭載型の焼却炉や、健康問題を解決するIoT製品など、島や沖縄の課題にアプローチした提案が多く、とても興味深かったです。

沖縄で知ったネットの格差

そんなこんなで、なんとか授業を終え、先生が空港まで送ってくれるというので車中で授業の振り返りをするのですが、授業を終えた直後に抱いた感想は、「想像してたより、ITに興味ある子って少ないんだなぁ」という寂しい気持ちでした。

しかし、先生と話しているうちに、気付かされるのですが、
沖縄は離島であり、石垣は離島の離島です。さらに竹富島や西表島は離島の離島の離島になります。

物理的な距離が離れている沖縄は、インターネットの通信速度が遅く、特に夜などは那覇であっても速度が出ません。チームにいるエンジニアも、夜に自己学習したいが22時以降ネットの通信が遅くなるので出来ないと話していたのを思い出しました。

辺野古がある沖縄北部では携帯電波すら入らない場所も多かったりするので、移動の最中にわざわざwifi拾うためにスタバ付近で車をとめ、友達とLINEしてたりもします。こんな状況なので、離島の離島はさらにインフラに格差があるのは当然です。

しかし離島の離島の離島であっても、与那国島なんかは自衛隊基地のある関係で海底光ケーブルが環状に配置され、超光速だそうです。

東京ならすぐにアクセスできるYouTubeも、島では簡単に見ることが出来ません。彼らはITに興味がないのではなく、情報に触れられる機会を減らされてしまっているということに気付かされ、「インターネットの時代ですよ」なんて業界ヅラして偉そうなことを言っておきながら、なんだか業界の人間として大変申し訳無さを感じた次第なのです。

ならば、今回授業の機会をいただいたように、実際こうやって足を使って現場に赴き、僕が東京やサイダスで体験したことを話すことで、少しでも教育格差を埋められることができるのなら、僕が沖縄にやって来た意味が1ミクロも生まれるてくるんではなかろうかと思うようになりまして、今後も教育支援を全力で行って行きたいと思う次第でございます。

最後に

授業の日は、とってもいい天気で、2月なのに初夏のような陽気でした。

1コマ目と2コマ目の間の10分休憩で、教室から見える真っ青な海と空、季節外れにもくもくと伸びた白い雲に目が止まりました。

時折、教室に潮風が吹き込んでくるのがとっても爽やかで気持ちよく、
「なんだこれBEGINの歌詞にありそうなシーンだな」と窓辺付近でしみじみしていたら、
生徒たちもフラフラと集まってきまして、窓から身を乗り出しずーーーっと海を眺めていました。

「綺麗だなぁ〜」って一人の生徒がつぶやいたので、
「海なんて毎日見てるんじゃないの?」って僕が聞くと、
「はい、見てます。でも毎日見ても綺麗ですよ」
っていう答えに、おじさん、ずきゅんと胸を撃たれてしまいました。

今でもそんな彼らの後ろ姿が、心に残っています。

2019年12月13日

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